2013年4月9日火曜日

26. マシューを囲む―ウニ先輩

マシューに生活を滅茶苦茶にかき回され、
外出もままならなかった頃(今でもそうだが)、
本来なら私が取りに伺わなければならなかったハードディスクを
ウニ先輩が持ってきてくれたことがあった。

マシューと初対面のウニ先輩。
先輩の来訪に喜び狂うマシューに、
先輩は驚きの行動を見せた。


ウシに追いかけられたりしたことはあるが、
この姿は初めて見たようだ。
超絶ビビッてしまった。
しかし、ウニ先輩はちょっと嬉しそうに、
立てたウシを前進させた。


もうパニックだ。
この後数日間、マシューは牛に近づけなくなった。


そんなウニ先輩、
年末のお疲れ様会では、マシューにたくさんオヤツを買ってきてくれた。
そして、我々に内緒で、マシューにオヤツをこっそりあげていた。


ウニ先輩は、私が以前勤めていた会社の先輩。
先輩との笑える思い出がひとつ。

ちょっと堅めの仕事だった。
いや、コリッコリにガチッガチにカタイ仕事だった。
なのに空気の読めない私は、ペンギンのおやつが焼き鳥だという設定で
シナリオを書いてしまった。
「あなたの人格を疑います」と、お客様から非難が轟轟、雨嵐。
しかし、ペンギンが焼き鳥を食べるという設定はおもしろ愉快な展開に
必要な要素となっていた。

私が轟轟の霰雹を全身で浴びていると、
なんとウニ先輩が、お客様にペンギンが焼き鳥を食べる展開の必要性を
熱心に語ってくれたのだった。
お客様とウニ先輩、お互いヒートアップし、
気が付くと広い会議室に、「ペンギン、ペンギン」とこだまするようになった。
30代後半の男性とおそらく60才近いエライ人が
「ペンギン、ペンギン」とスーパー連呼、異常な事態となっていった。


目が点だ。

会議室に響き渡るおっさんたちの激しい「ペンギンペンギン」の声。
あまりな光景に、もう、笑いを抑えるのに必死だった。
どうしてあそこまでペンギンに入れ込んでくれたかは不明だが、
なかなかの後輩思いな行動に感謝した。
あれは忘れもしない、クリスマスの日。
東京からの移動に半日かかる土地でのペンギン騒動、
帰路で我々は天皇賞の予想に明け暮れ、ラーメンを食べて帰った。


そんなウニ先輩の趣味は星とマラソン、
そしてアゲハ蝶の飼育だ。
アゲハ蝶の飼育に至っては、アゲハのためにアゲハ草も大量に育てる徹底っぷり。
先輩宅のベランダが調布中のアゲハ蝶のたまり場になる日もそう遠くはあるまい。
なにせ越冬中の幼虫のため、冬の間は暖房を使わないほど、
アゲハライフを謳歌している。


ちなみに、ペンギンのおやつはアイスクリームになった。




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