2013年4月30日火曜日

47. 睡魔には勝てず

ゴールデンウィークが始まろうと日付が変わる頃、
ヨシオが東京へ帰ってきた。3週間ぶりの帰京だ。
マシューを喜ばせるための演出か、
ヨシオはそーっと玄関を開け、忍び足で現れた。


マシューが喜び、飛びつき、
尻尾ふりふり、大興奮の予定だったのだろうが、
寝ていたマシューはぼやっと目を覚まし、しばらく動かなかった。


寝ぼけ眼のマシューは、
ヨシオの帰宅に、ヨロヨロと起き、
なんとか歓迎の舞を・・・・となると思いきや、
ほんの1分くらいか、ヨシオに抱かれると
ヨロヨロと隣の部屋へ消えて行った。

気まずい空気が狭い部屋に充満する。
ひとまず、茶を濁そうと

「あ、あれー?あははは・・・」
笑ってみた。

マシューはとても疲れていた。
昼から2時間ドッグランで走り、
その足でドッグカフェで2時間ワンコたちとガウガウ遊び倒し、
体力が限界を迎え、今にも寝落ちしてしまいそうだ、というタイミングで連れ帰り、
毎週恒例のシャンプー地獄を行ったのだ。
シャンプー地獄をスムーズに行えるように、
私はこの日の午後を、マシューの体力消耗のためだけに費やしたのだった。

毎度のヒサンに協力してもらい、
シャンプーとドライ、順調に終えたところで、
本来なら「寝てよし!」なのだが、
このタイミングでマシューの初恋のカキさまが登場してしまった。
「ああどうしよぅ、カキさま好き好き~」なマシューは、
我々が食事をしている間、頑張ってカキさんの傍らで
尻尾を振ったりスリスリしたり忙しくしていたのだ。
カキさんとヒサンが帰っていき、「寝てよし!」となった頃、
おっぱいのおおきな大盛嬢が来訪、眠たいマシューが再度興奮してしまい、
やっとこさ落ち着いて「おれ、もう動けねえ」と寝に入ったところに
ヨシオが帰ってきたのだった。

ヨシオの帰宅のタイミングが悪かった。
しかしヨシオの特技はポジティブシンキング。

「マシュー、大人になったんだね!
 うん、隣の部屋で一人で寝られるようになったなんて!
 すごいよ、えらい!
 うんうん、そうだ、えらい。」

だそうで。

しかし、上記の旨を説明すると、
恨めしそうにこういうのだった。


やっぱりマシューにスルーされてしまったのはショックだったようだ。




2013年4月29日月曜日

46.悲惨なヒサン

今日はとある酒蔵の新酒のお祝いに行ってきた。
新宿から片道2時間半、とても長閑な土地まで。

カキさん、ヒサン、ヨシオはご機嫌に酒を酌み交わし、
あれよあれよ、と言う間に酔っ払い3人が出来上がった。
雲一つなく晴れ渡った空の下、
すでに夏のような強烈な日差しに若干やられている私はひとりで素面だ。
私は酒が飲めない。


とても良いお酒(らしい)を造る酒蔵の、
とても素敵なイベントだったが、
帰り際にちょっとしたアクシデンドがあった。

帰りの電車に乗り込む寸前、
ヒサンが衝撃の告白をした。

前歯が欠けている。
悲惨な状況だ.
ヒサンの動揺は計り知れない。


上機嫌な酔っ払いの記憶はマシュー以下だ。
1分後には忘れている。


これが延々と繰り返される、帰りの車中。
前歯が欠けたショックを必死に抑え、
冷静になろうとするヒサンを追い込む酔っ払い。


最寄駅に降り立ったヒサンは、
早速駅前の歯医者へ寄って予約を入れてきた。
無事、火曜日に前歯は治る予定。




2013年4月28日日曜日

45.カキカメラ(2)

これはマシューが月齢5か月くらいの頃。
まじやべー、すげーたのしー!


太陽光の下、白い犬はどうしても、露出が難しい。
こんな、黒い犬とかいると、それはもう、大変だ。


真っ白な犬と、黒みの犬。
はて、どうしよう、しかも相手は爆走中だ。
一瞬でピントだってずれてしまう。

おれすげー速いわけ。

あは、カキさんすきよ。

しかし、マシューを孫のようだとニタニタ笑顔で追うカキさんは、
シャッターチャンスを逃さない。

カキさんを好きなのはマシューだけではないらしい。
秋も終盤、昼下がりのドッグランで、気が付くと大勢の犬に囲まれていた。
カキさんは、何やら動物を誘引する物質を発しているみたい。


2013年4月27日土曜日

44.しましま商品制作

じゃん。


私はなかなか器用だ。
たいていのことは、そこそこできてしまう。
ので、“しましましゅー”のTシャツをつくってみようと思う。
ワン用のTシャツ。
ミシンはカキさんに頼む。

今日で44回目のしましましゅーブログ、
70回記念あたりでこのTシャツを誰かに買ってもらおう。
ひとまず10着だ、買ってはくれまいか。





2013年4月26日金曜日

43.朝の一連

朝7:00、マシューが私の腹の上でジャンプを始める。
もちろん、私を起こすためだ。
ヨシオがいた頃は、ここでヨシオが起きるのだが、
私はそんなことをされているなんて、未だに感じない。
目覚まし時計も聞こえない私が、
マシューのそんなアピールで目を覚ますわけがない。
しばらくすると、遠くでチョロチョロ音がする。


睡眠中は、目覚まし時計の爆音も私の脳内には届かないのに、
どうしたものか、マシューのチッコの音は、とてもクリアに届くのだ。

しかし飛び起きたところで、惨事は始まったばかり。
ここから30分のマシューチッコとの戦いが始まるのである。


マシューがゴハンを食べている間に、急いで服を着替え、歯を磨く。
白状すると、私は水が嫌いだから、朝、顔は洗わない。
化粧水と日焼け止めをドビャっと塗って、散歩の支度が完了だ。
とここで、いつしたんだか分からないチッコを発見する・・・。


どうでもいいが、チッコばっかり拭いている最近、
床に溜まるチッコをみて、
トイレットペーパーの量を的確に判断できるようになってきた。

素早く、無駄なく、見逃しなく、
これがチッコ掃除の3原則だ。

とまあ、起床から30分が経過し、チッコ掃除を終え、
よし、そろそろ散歩だぜ!とマシューに声をかける頃、
奥の部屋からなにやら香ってくる。
ウンコだ・・・。



2013年4月25日木曜日

42.マシューを囲む―犬の先生ゆーこちゃん

とある仕事で知り合ったスーパーサイア人みたいな風貌のザキ氏が
お付き合いをしているという彼女さんを連れてきてくれた。
おデエトだったのでスーパーサイア人風な髪の毛は落ち着いていた。
彼女さんは犬の先生になる人たちの先生をしているゆーこちゃん。


ゆーこちゃんはとても明るい。そしてドライ。
きっぷのいい女だった。
ザキ氏の彼女のいない長い長い暗黒時代、
女々しい愚痴をこぼす姿をちょっとだけ知っている私は、
ザキ氏が連れてきたゆーこちゃんがいい女で驚いた。

犬の先生のゆーこちゃんとは対照的に、
ザキ氏は犬が苦手らしい。
狭い我が家でも、ザキ氏はマシューと対角線の位置に陣取っていた。
決して触らず、声もかけず。

いいのだ、ザキ氏はこの際おまけだから。
私が会いたかったのはゆーこちゃんだから!

ゆーこちゃんの来訪を待ちわびていた私とヒサンは、
矢継ぎ早にいろんな質問をする。


いろいろ聞いて、結果、
マシューの留守番が出来ないことや、
いろんな大変なことは、その犬の持って生まれた性質が大きいから、と慰められた。
なかには、トレーニングのプロでもどうにもならない犬もいるというのだ。
”何才からでもしつけられる!”、”しつけられない犬はいない”の謳い文句の
トレーニング教本、いっぱい読んじゃったじゃねーか。
とにかく私のせいだけじゃない、と言ってもらえて安堵したのだった。

とはいっても、トレーニングは根気強く、とアドバイスをもらいながら、
ザキ氏を無視してゆーこちゃん先生の生徒になる私とヒサンだった。

まったくもって犬が苦手なザキ氏だが、
ゆーこちゃんとの生活を夢見てだろう、犬の勉強を熱心にしている(ようだ)。
スーパーサイア人はじつは真面目。

そんなザキ氏とゆーこちゃんは東京―大阪間での遠距離お付き合い中。
2人を応援したい気持ちはもちろんあるのだが、
大阪でキラキラ楽しくお仕事をしているゆーこちゃんは上京を渋っている。
わかるよ、わかるよぉ!とつい共感するのであった。

もちろん、マシューに言ってるのである。
ヨシオ不在の我が家で、どうやらマシューはリーダー気取りだと
ゆーこちゃんは言う。
(ヨシオがリーダーだということはまずないと思うが。)
それはそうと、上京を渋るゆーこちゃん然り、
私もヨシオが単身赴任しているシャチホコの街へ行かないのか、とよく聞かれるが、
乗り気になれないでいる。

求む!シャチホコタウンの魅力的な生活事情!
犬生活も含め、ご存知の方がいらっしゃったら是非お知らせ頂きたい!


余談ではあるが、仕事まみれのザキ氏の暗黒時代、
出張先でだんご先輩と飲みに誘ったことがある。
すると、ちょっと遅れて現れたザキ氏は、
ホカホカと頭から湯気をあげて登場したのだった。
宿泊のホテルは中国地方最大の歓楽街の外れにあった。




2013年4月24日水曜日

41.マシュー以前―気功はよいらしい

マシューとの生活がいよいよ大変だ、と私もヨシオも疲れてきた頃、
ふとヨシオがマシューを気功に連れて行ってみてはどうか、と
真剣に言い出したことがあった。
もちろん一蹴したわけだが、
それくらい半年前のマシューの暴れっぷりは、もう狂っていた。

マシューを迎えるよりももっと、ずっと前、
ヨシオがある気功に傾倒していた頃があった。
というと、いつぞやのワイドショーみたいだが。
とにかく、気功にハマっていた時期があった。


なんだか怪しいと思いながらも、個人の自由だと思い放っておいたのだが、
ある時、明日から1週間ほど出張だ、
しかしここ1週間ほどほとんど寝ていない、体調は最悪!
しかも台風が近づいてきている、気圧の変化に私は弱い・・・と、
藁にもすがる思いでヨシオの傾倒していた気功に行ってみたことがあった。

池袋からそう遠くないところにあった。
待合室に通されると、問診票への記入と、
ビデオを見るように指示があった。


歩けなかったご老人が、中国の先生から送られる”気”で歩けるようになる・・・
そんな驚愕なビデオを見せられて、
もう私の頭の中は不安でいっぱいだ。
しかも、待合室を見渡すと、先生の気の入った水が
結構なお値段で販売されているではないか。


疑心に満ちる中、中国からの施術ではなく、
その場で手をかざしてもらう施術を受け、
結果爆睡ぶっこいて、かなりの時間が経過した頃に目を覚ました。
不覚にも、自分のイビキで目を覚ました・・・・。
気功の施術がどんなものなのか、何もわからないまま、
さわやかなお兄さんの、「相当お疲れだったんですねー」という
眩しい笑顔に赤面するのだった。

ちょっと高い施術料を支払い、
ヨシオにどう文句を言ってやろうかと思案しながらの帰路、
駅までの道中で急に歩けなくなってしまった。
どうにもこうにも体が動かない。
泥の中にはまってしまったような感覚だ。

驚いたのは翌朝。
睡眠時間が2,3時間だというのに早朝、
バチッと、シャキッと目が覚めた。
体が軽い。
翌日からの1週間の出張も、暑さの中、すこぶる好調だったのだ。

あれ以来その気功には行っていないが、
もしかしたらやっぱり効いていたのかな、と思うのだ。


まあ、だからといって、マシューの暴れ特性に気功がきくとは思えない。
マシューの“気”とやらの流れを良くすると、
もしかしたらもっと元気になってしまいそうだしな。




2013年4月23日火曜日

40.しましむーびー-♪Hey,Mr.matthew

3月の終わり頃、単身シャチホコの街へ赴任したヨシオが2週ぶりに帰京した。
カキさんが上等な日本酒を差し入れてくれ、
ヨシオがお得意の創作歌をご機嫌に歌っていた。
マイクを向けると、もっとご機嫌に歌いだした。

戦慄のナンバー、♪Hey,Mr.matthewである。


ちなみに我が家では、ヨシオの歌は鼻歌ですら禁止している。
なぜなら私にとって、その歌声は不快極まりないからだ。
付き合いだした当初から、私の耳に入るところでの歌唱は一切禁止している。
本当に、私は彼の歌声が嫌い。

なので、このV、私はノーチェックであることをここに断わっておく。
編集したヒサン、苦行であったろう・・・。

これを公開して良いものか、つい先ほどまで悩んでいたが、
まぁ、エンターテイメント、よかろう。
ヒサンもせっかく動かしてくれたし、ヨシオも了承していることだ、
内輪だけでも笑ってもらえればよいと思ったのだ。




2013年4月22日月曜日

39.トキドキナオト(2)

我が家はすでにマ臭だ。
もうすっかりマ臭だ。
認めたくなかったけど、もう認めざるを得ない、マ臭なんだ!!!

春の陽気になり、湿度も上がり、
私は日々、消臭スプレーと雑巾を持ってウロウロ、
マ臭との戦いを繰り広げている。


思い出した。
私は以前にも部屋の臭いと戦ったことがあったのだ。

5年ほど前まで、私は弟ナオトと同居をしていた。
2LDKの間取り、ナオトの部屋は玄関脇にあった。
家に帰り玄関を開けると、おかずのニオイでいっぱい。
たまに、そのおかず臭は発酵をしはじめる。
というわけで、ナオトと同居の数年間、私はこのおかず臭と戦ったわけである。

そういえば同居を始めるより前のこと、
勉強中の弟が、こんなことを言ったことがあった。


終電を逃して弟のアパートに泊めてもらった時のことだった。
確かに、嗅いだスウェットは焼肉屋のニオイだった。


学生時代はダボダボの服にキャップを斜めにかぶり、チェキラッチョだったナオトも、
今では洋服のサイズも適正になり、
姉の私より数万倍社会的信用のある人間になっている。
そういえば相変わらず臭いのだろうか。
プレゼントしたプラズマクラスターはまだ現役だろうか。
今度嗅いでみようっと。


2013年4月21日日曜日

38.しつけのコツは声?

犬は高い声によく反応するらしい。
以前しつけ教室にマシューを預けていた頃、
毎週末行われていたパピーレッスンなるもので、
ヨシオはトレーナーさんに逐一注意をされていた。

「パパさん、もっと楽しそうに!
 聞き取りやすい声で!」

ヨシオは滑舌もいまいちだが、
声が低く、こもりがちだ。
そのうえ、「マシュー!」と人前で呼ぶことに、
なぜか照れがあって、その声は一層おかしなことになっていた。
しかし一生懸命な彼は、毎夜高い声でマシューを呼ぶ練習をしていた。

そんな本人の意とは別に、
その奇怪な呼び声は方々で衝撃を与え、
普段無口なカキさんでさえ、酔っぱらうと真似をするようになった。


確かにマシューは高い声が好きなようだ。
特に、20代女子のかわいい声。
私が呼んだって聞こえていないフリをするのに、
時間お預けでお世話になっているカフェのお姉さんの声には大興奮に反応する。
おかしい、飼い主の私もそこそこの声質だ。
なのに断然お姉さん。
もう、それは呆れてしまうほどの違いだ。
確かに、お姉さんの声はとてもかわいい、ずるいほどかわいい。
そして何より、若い。
若い女子には、名前を呼ばれるだけでアドレナリンが噴出、
「ああもうオレ、やべえし!」とスイッチが入って爆走だ。


先日マシューを月1のトリミングに出した。
年末にもお願いをしたトリマーさんにトリミングをしてもらえることになった。
マルチーズに間違われるマシューを、ビションにしてくれる凄いトリマーさん。
ここで学習したこと。

「マシューは頭いいし、いい子だから・・」

「え? マシュー頭いいの?」

「そうよぅ、こないだ来たの覚えてたから」


マシューの目を見て、「わかるよね?」と聞いたら
マシューがすぐに諦めて大人しくトリミングに応じたとのこと。



トリマーさん、さすがプロフェッショナル。
私に説明で話をしてくれているにも関わらず、
その「わかるよね?」の声に、ものすごい凄味があったのだ。


よし、私もマシューに舐められない声色、研究しよう。





2013年4月20日土曜日

37.間違ったトレーニング(4)

マシューがトイレでチッコをしなくなってから1ヶ月が経過した。
マーキングを覚えてからというもの、トイレを忘れたフリをしやがる。
そう、”フリ“なのだ。
なぜならマシューは寝起きの一番はトイレでチッコをしようと、
一度はトイレの上をうろうろするからだ。

マシューがトイレでない場所でおもむろに脚をあげたと確認したら、
当初はダッシュで持ち上げてトイレに投げ込んでいた。


しかしこれは大惨事となってしまう。
チッコが空を舞い、もれなくおそうじがとても大変。

挙げた脚を「テイヤー!」と払ったり、脚を挙げそうな気配を感じたら、
「見ーてーるーよー」とひたすら監視をしてみたり。
未だ、この戦いは続いている。

そんな折、帰京したヨシオは、マシューのチッコ掃除に追われていた。


コソコソとマシューが隣室に行ったので、
マーキングベイベーをしているにちがいないと思い、
ヨシオに見に行ってもらった。
するとまさかの耳を疑う声が聞こえてきた。

果たして1.5メートルは惜しいのか。
本人は応援しているつもりらしいが、そんな応援伝わるものか!
違うだろ・・・ガッカリだった。


それでも最近は、たまーーーに、トイレでチッコをしているようだ。
2週間ぶりくらいにトイレでチッコをしているマシューを見たときは、
もう、あまりの感動で写真を撮ってしまった。
しかしこの家でのマーキング問題はそろそろどうにかしたい。
何か良い策はないものだろうか・・・。


トイレ問題とは違うが、
無駄吠え対策にやっていたクレートトレーニング。
最近では構ってもらえないときは、
テーブルの下のクレートに自ら入る、ことがある。
マシューにとっては神業!

少しずつだが、人間との生活のルールを分かってきてくれている、
と思いたい最近だ。