ゴールデンウィークが始まろうと日付が変わる頃、
ヨシオが東京へ帰ってきた。3週間ぶりの帰京だ。マシューを喜ばせるための演出か、
ヨシオはそーっと玄関を開け、忍び足で現れた。
マシューが喜び、飛びつき、
尻尾ふりふり、大興奮の予定だったのだろうが、寝ていたマシューはぼやっと目を覚まし、しばらく動かなかった。
寝ぼけ眼のマシューは、
ヨシオの帰宅に、ヨロヨロと起き、なんとか歓迎の舞を・・・・となると思いきや、
ほんの1分くらいか、ヨシオに抱かれると
ヨロヨロと隣の部屋へ消えて行った。
気まずい空気が狭い部屋に充満する。
ひとまず、茶を濁そうと
「あ、あれー?あははは・・・」
笑ってみた。
マシューはとても疲れていた。
昼から2時間ドッグランで走り、
その足でドッグカフェで2時間ワンコたちとガウガウ遊び倒し、
体力が限界を迎え、今にも寝落ちしてしまいそうだ、というタイミングで連れ帰り、
毎週恒例のシャンプー地獄を行ったのだ。
シャンプー地獄をスムーズに行えるように、
私はこの日の午後を、マシューの体力消耗のためだけに費やしたのだった。
毎度のヒサンに協力してもらい、
シャンプーとドライ、順調に終えたところで、
本来なら「寝てよし!」なのだが、
このタイミングでマシューの初恋のカキさまが登場してしまった。
「ああどうしよぅ、カキさま好き好き~」なマシューは、
我々が食事をしている間、頑張ってカキさんの傍らで
尻尾を振ったりスリスリしたり忙しくしていたのだ。
カキさんとヒサンが帰っていき、「寝てよし!」となった頃、
おっぱいのおおきな大盛嬢が来訪、眠たいマシューが再度興奮してしまい、
やっとこさ落ち着いて「おれ、もう動けねえ」と寝に入ったところに
ヨシオが帰ってきたのだった。
ヨシオの帰宅のタイミングが悪かった。
しかしヨシオの特技はポジティブシンキング。
「マシュー、大人になったんだね!
うん、隣の部屋で一人で寝られるようになったなんて!
すごいよ、えらい!
うんうん、そうだ、えらい。」
だそうで。
しかし、上記の旨を説明すると、
恨めしそうにこういうのだった。
やっぱりマシューにスルーされてしまったのはショックだったようだ。