102.情けないは愛おしい

暑いからといって、ダラダラしているわけではない。

今月私は、意外と絶賛労働月間。
早速バテている。１度、軽い熱中症状で倒れかけた。

それはそうと、相変わらずマシューは留守番が出来ない。
私の労働中は、もれなく連日ドッグカフェでお預かりだ。
朝10時から夜は21時までだったり、23時までだったり。
1時間￥400のお預けサービスも、
連日12時間とか、もうなんのために働いているのかわからなくなる。
もう、マシューだけ月謝制にしてはくれまいか、そんな気分だ。
看板犬よりもいち早くお客さんに駆け寄る働きっぷりだぞ。

そんな毎日だが、お休みの先日、

ウルトラかわいこちゃんに会ってきた。

あまりにラブリーで、終始かわいいを連呼してしまった。

（飼い主様申し訳ありません）

その翌日、仕事をしながらふと思い出した。

キラキラなこたろうくんと会った日、マシューはいつになく良い子だった。
ドッグカフェで飼い主の足元で寝るという、これまでにない大技をこなし、
抱っこまでさせてくれた。
いつもの狂い走りもしなかった。

もしかして、あいつは空気を読んでいたのだろうか。
かわいこちゃんを前にして、何かを悟ったか。
ビジュアルでは適わないと、お利口犬への道を決意したのだろうか。
はたまた、いじけてしまったか。
なんだかとてもしおらしいイイ奴だと思えてきた。

そのことをヨシオに話すと、
ヨシオはすべてを理解したかのようにこう言うのだった。

物知り顔にそう語るヨシオにちょっとイラッとしたが、

なるほど、これはちょっとわかる気がした。
キラキラなワンの横で、デヘヘと笑う不細工なマシューを思い返すと、
なんとも切なくなるほどかわいく思えてきたのだった。

こたろうくんを“かわいい”と連呼する私に、
ヨシオは「マシューに聞こえてるんだからね！」とプリプリしていたが、
その夜はいつも以上にマシューにこう語りかけるのだった。

言えば言うほど疑念が広がる。